「成績優秀で、アルバイトにも趣味にも打ち込んで、時間を有効に使っていたんですね」と言われて、「身に余るおことばです。私はほんとうに暇でして、やれるだけのことしかやらない姿勢を貫いて、それなりの成果を上げてきたにすぎません。時間の無駄遣いを許された身分を謳歌してきました」と答えるのは、きっと率直にしゃべりすぎたために落ちた面接の記憶がよみがえったので、やめておいた。この会社では、ひいては社会と呼ばれるところでは、時間を有効に使うことが褒められるのだな、とぼんやり思った。
私はいっぺんにひとりしかどうしても好きになることができず、また所有欲の奴隷であるから相手にも同じ態度を求める。一途であることはたしかだろうが、それを「純粋」と評されると、では、このほかのありかたは不純か? などと、別のところに意識が飛んでゆく。このコミュニティでは、ただひとりのパートナーと結ばれることが褒められるのだな、とぼんやり思った。
あなたは受容力に長け、人を巻き込む説得力が欠如している、と性格検査は教えてくれた。だって、巻き込みたくないもの。みんなちがって、だからこそ、よいだのわるいだの、判断を下すことは不可能だもの。